美容整形の本質は自己啓発だ!現役女医が目の当たりにした「見た目が変わる」以上のメリット【松宮詩依】
■形成外科医として見てきた、心の変化
美容医療は、形成外科の領域です。形成外科では、先天異常や外傷・熱傷後の瘢痕(はんこん)など、見た目の疾患に向き合っていくわけですが、治療が進むにつれ、攻撃的・抑うつ的だった患者さんが、社交的で柔らかな雰囲気へと変化していく——そんな瞬間を何度も目の当たりにしてきました。
たとえば、生まれつき瞼が重く目が小さく見えるお子さんが、手術で視野を手に入れ、印象がガラリと変わり、部活動や学級委員に挑戦するようになる。あるいは、配偶者を亡くされた方が一念発起し、若返りの治療をして「もう一度、自分の人生を生きる」と前向きな一歩を踏み出す。
看板(見た目)は内面を映し出す鏡であり、看板を整えることで中身にも追い風が吹く。そんな力が確実にあるのです。
■ルッキズムの圧力と、「本当の美しさ」とは
ただし、必要以上に見た目にとらわれる「醜形恐怖」や、若年層に蔓延するルッキズム(容姿至上主義)は、心をすり減らすだけです。「みんなやっているから自分も」という圧力は、ときに本来の自分から遠ざけることにもなりかねません。
代表例が「脱毛」です。海外では脇毛も個性として捉える文化がある一方、日本ではそれがいじめの原因になるという相談をよく受けます。文化・価値観・年齢により「正解」が、もっと踏み込めば「正義」すら異なるのです。
だからこそ、私たちが大切にしなければならないのは、自分らしい美しさの基準を自分の内側に取り戻すことです。
私が大切にしている5つの原則
そのために、私は常に次のことを心がけています。
1. 体に無理な負担をかけず、安全面を守りながら量や場所を丁寧に考えること
2. いきなり大きく変えるのではなく、少しずつ段階を踏んで進めること
3. カウンセリングで、患者さんが本当に大切にしたい思いを言葉にしていくこと
4. 十分に考える時間をとり、同じ日にたくさん重ねすぎないこと
5. 必要なときには、心の専門家と力を合わせて支えていくこと
たとえば、ボツリヌストキシンでは表情筋の過緊張を緩めます。高周波やハイフなどのエネルギーデバイス、注入で足し引きのバランスを整えます。逆に不本意な注入物は溶解もしくは除去します。外科的手術で不要なものを取り除き、筋肉などの皮下組織、皮膚を本来の位置に戻します。
いずれもゴールは「自然で、動いても美しい」ことです。
見た目が整えば、メイクや服装、姿勢、言葉遣いまで不思議と変わります。日々の選択が前向きに連鎖していく。そして前向きな選択は、幸せへとつながっていくのです。
美容医療は、心を直接いじる治療ではありません。しかし、確実に自己肯定感を育んでいける医療だと、私は信じています。
流行や人の物差しに振り回されず、患者様が心地よいと思える姿になれるように。その選択を一緒に考えていきたい。私はいつもそう考えています。
語り:ユートピアートクリニック恵比寿 松宮詩依
- 1
- 2